『私、繊細だから』
海辺の町に住む中学生の日常を淡々とオムニポテントな三人称単数で描いた物語。正直、ちょっと前にお借りして一回サラッと読んでお返ししてしまったのでストーリーはうろ覚えですが、喪失感とか、セックスとか、暴力とか、大人が中学生の話を書く時にまず思いつくであろう要素がこれでもかといっぱいに詰まっています。
傷つきたくないから自分から先に周りをシャットアウトしてしまうという典型的な思春期少年、磯辺と、自分中心にしか物事が把握できないため、現実との真っ当な関係が築けない愚かな小梅。この恐ろしく幼稚な二人が恋愛をするというよりセックスをすることで物語が進行していくのだけど、恐らく力を入れて描いているであろう性描写は独特なグロテスクさがあり非常に秀逸です。
作者の浅野いにおさんはジャパニーズ・エモの教祖のような方だそうで、詳しいことはウィキペディアでも参照してくださればと思うのですが、この作品を読んで『エモさに対する嫌悪感というのはどこから来るのだろう?』という問いに関する自分なりの答えが出たような気がしました。
要は、エモとはナイーブさを最大限に理想化したものであり、その根底にある精神構造は『ありのままの自分』とか『等身大』
『私、繊細だから』という言葉の裏にある『
普通に面白かったです。
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