先日のこと、無性に小澤マリアの性器が見てみたくなって一生懸命インターネットで探したことがあるという話を友人から聞いた。多分、今ほど無修正のビデオが出回っていない時期のことだったのだと思う。
「なんかね、小澤マリアのアソコ、トンボみたいなの」
友人はわずかに顔を歪めながら、おかしそうに笑って言った。
彼女が知らないこと、それは小澤マリアは本当にトンボなのだということ。
夜になるとマリアは、紫と肉色のトンボになる。
両足をとうもろこしの皮のように剝いで、露わになった羽をうち震わせると、夜の東京の空にブーンと飛び立つのだ。
六本木ヒルズを超え、東京タワーを旋回し、レインボーブリッジの下を潜り抜ける。ホバリングすると、キラキラと輝く水面に指と髪の先を濡らし、また思い立ったように風を切って進む。
夜の埋立地はトンボ達のパラダイス。
鳥の糞が運んで来たイヌガラシ、メヒシバ、セイタカアワダチソウの海を美しい羽をした仲間たちが飛び回る。お互いの気まぐれな軌道を追いかけながら、ゴミの匂いのする風に乗って舞い上がる。
UFOキャッチャーの景品だった薄汚れたぬいぐるみの上に羽を休ませると、雄のオオシオカラトンボがツッとその上に重なり、腹部の把握器でぎゅっとマリアの中心を掴み上げる。
朝が来るまで、二匹は一つの輪になる。
そんなことを夜な夜な繰り返す。
どこのブランドのバッグを買っただとか、ネールアートを新しくしただとか、道を歩くたびにキャッチに声を掛けられてウザいなんてブログに書いているマリアは本当のマリアではないのだ。